がん再発予防のカウンセリング

再発しにくい性格づくり


私たちは、がんの再発予防の一環としてカウンセリングに取り組んでいます。

がんになりやすい人、がんを発症しやすい人を「タイプC」といいます。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校 医学部の心理学者ディア・デモショック先生らによって提唱され、日本にも紹介されました。

チェックリスト20項目のうち10項目以上に「イエス」と回答すると、タイプC に該当します。タイプC とがんの関係については、かなり研究が進められています。タイプCの人は、そうでない性格の人に比べて、がんになりやすく、がんの再発率が高く、転移のスピードが早いことが知られています。

 

私たちは、インナーチェンジングセラピー(性格を変えるカウンセリング)という手法を使い、がん再発予防の一環として、タイプC の該当項目が、6〜7項目になることを目標に、性格改善を目指すカウンセリングを実施しています。

 

カウンセリングでは「がんの再発をしにくい性格づくり」を行っています。

 


がん治療とメンタルケア


2016.2 vol.92「がん難民」を作らないために 標準治療+(プラス)総合医療でがんに克つ より

がん患者のカウンセリング

ー再発予防に向けた性格を変えるカウンセリングー

 

倉成 央 (株)メンタルサポート研究所代表・博士(学術)臨床心理士

 

●がん再発予防のカウンセリングで実施すること

タイプC、いわゆるがん性格の中心的要素は、①自分の欲求を感じない、または感じても表現しない、②怒り(または他の感情も)を感じない、または感じても表現しない、③自分の意志を表さない、自己主張しない、といったものです。

 

対人関係においては、自分の欲求よりも他者の欲求を優先し、自分は自分は我慢してしまう傾向、怒りを抑えてしまう傾向があります。場合に

よっては、自身の欲求や怒りがわからない、すなわち自分がしたいことは何かとか、腹が立つということがわからない状態になっています。

 

ある女性クライアントは、幼い頃から欲求を表してはいけない環境で育ち、大人になった今も自分のことは後回しで何かにつけて家族を優先していました。そして大人になった今も、自分の欲求を主張することに罪悪感や不安感を持ってしまうのです。彼女は、夫からきつく言われることが多かったのですが、言われたことが嫌だったと気づくのは、大抵言われてから時間が経過した後でした。

 

カウンセリングを通して、このような性格特徴を変えていこうとするものが、がん再発予防のメインテーマです。

それは、自分の欲求や怒りを活き活きと感じ、それを適切に表現できるようになる姿がゴールとなります。

他者も大切にしますが、自分を大切にする生き方を目指すのです。

 

このカウンセリングを通して、クライアントは以前よりも活気に満ち、自分の感情表現が増え、適切に自己主張するようになります。

 

そしてもう一つ大切なこと、それは生きようとする前向きな姿勢、意欲を高めることです。それはがんに打ち勝とうという前向きな姿勢を身に付けていくことであり、この姿勢もがんの克服には大きな意味を持ちます。

 


 

沼田 光生 海風診療所院長・周南病院理事長

 

海風診療所では、心(精神)・血流(運動)・栄養(食事)を健康の3要素と考え、「ニコニコ・テクテク・カムカム」という健康の合言葉をつくりました。そして、この順番に重要度が高いことを皆さんに伝えております。

どんな患者さんが来られても、上記3要素の評価を行い、対処するようにしておりますが、がん患者さんでは、心(精神)の問題が最も大きいことが多いです。そこで、連携しているメンタルサポート研究所からスタッフを派遣してもらい、がん患者さんの心のケアを積極的に行っています。

 

海風診療所

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